【血液検査でPSAチェック】前立腺がんは早期発見できれば死亡率は低く、治療できる。

【血液検査でPSAチェック】前立腺がんは早期発見できれば死亡率は低く、治療できる。

男性でかかりすいがんは前立腺がん比較的治療しやすく、死亡率も低いと言われていますが、転移によりQOLや治る確率大幅に下がるため、50代からは定期健診が重要です

執筆:[薬剤師]齊藤 桂丞

● 経歴:慶応義塾大学薬学部卒業後、調剤薬局に薬剤師として勤め、研修認定薬剤師を習得。2022年よりぺブルコーポレーション株式会社に入社

● 自己紹介:健康や薬、ヘルスケアなどの情報をわかりやすくお伝えしていこうと思います。微力ながら、薬剤師としてみなさまの健康や生活へお力添えができればと思いますので、よろしくお願い致します。



こんにちは薬剤師の齊藤です。

今回のテーマは前立腺がんについて

・前立腺がんの早期発見方法について

・前立腺がんを早期発見するメリットについて

 

この2つについて解説していきます。

男性で一番かかりやすいがんと言われているのは前立腺がんです。

早期発見の方法はちゃんと覚えておきましょう。

 

前立腺がんの早期発見方法は血液検査(腫瘍マーカー)でPSAを調べること。  


前立腺がんは、血液検査で腫瘍マーカー『PSA』を調べることによって早期発見が可能と言われております。


PSAは前立腺に特異的(ほかの臓器では見られないマーカー)であり、前立腺に関する異常が見られたときに数値は上昇します。

 

注意が必要なのは前立腺炎や前立腺肥大症などでも数値は上がりますので、PSAがあがったからと言って、必ずしも前立腺がんであるとはわかりません。


ただし、何かしらの前立腺の異常があるサインでもありますので無視は禁物です。

もともと前立腺肥大症など前立腺に疾患を持っている方では数値が高く出てしまいます。


この場合は定点で確認せずに推移を確認するようにしてください。持病がある方はかかりつけの医師に相談してください。

 

PSAの血液検査で早期発見のスクリーニングが可能なことはお伝えしました。

これ以降は、なぜこのような定期健診や検査が必要なのか解説していきたいと思います。


この理由は3つあります。

・前立腺がんは転移する前に見つければ、ほぼ生きられること。

・最近増加しているがんであり、50歳以上で急に罹患率が増加すること

初期症状がなく、自身ではわからないこと。

男性の前立腺がんは、罹患率が高いが死亡率は低いがんである。

 出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)

国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)

 2018年のデータでは、男性の中で最もかかりやすいがんが前立腺がんとなりました。

2012年では、まだ胃がんや肺がんの方が多かったため直近でも増加しているがんであります。

一方、死亡率は他のがんに比べて高くないがんです。

前立腺がんのようにがんにはかかりやすいが、死亡数の少ないがんでは、発症しても治りやすい、進行がゆっくり、もしくは、早期発見がしやすいがんといえます。

前立腺がんは、他のがんに比べ早期発見がしやすく、進行も比較的穏やかながんです。

 

前立腺がんの転移先は骨が多い。死亡率は低くても早期発見がとても重要。


先ほど私は、前立腺がんは他のがんに比べて早期発見がしやすく、進行も穏やかであるといいましたが、それでも油断をしてはいけません

前立腺がんは転移先の臓器として「骨」が多いがんになります。

骨にがんが転移すると痛みや骨折のリスクが高くなり、生活にも影響が出てきてしまいます。

骨転移しても直ちに痛みが出るとは限らず、無症状で気づきにくい場合もあります。

 出典:全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)

独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書

 前立腺がんの5年相対生存率は、転移していない、転移先が近ければほとんど亡くなることはなく治療が可能な時代ですが、遠隔に転移してしまった場合は、平均して50%ほどにまで下がってしまいます。

転移先の臓器が必ずしも骨とは限りませんが、遠隔転移しなければ、今後も生きられる可能性がかなり高い実態を考えると、進行速度が遅いから、治りやすいからと言って放置せずに、定期的な健診を受けていくことは重要だと感じます。


前立腺がんにかかりやすくなるのは50代から。50代から罹患率は急に増加する。

 出典:Cancer Statistics. Cancer Information Service, National Cancer Center, Japan (National Cancer Registry, Ministry of Health, Labour and Welfare)

※「罹患:病気にかかること」と簡単に読んでください。

この統計データによると前立腺がんの罹患率は50代から徐々に増えはじめます

早期発見を考えるのであれば、50代あたりからは定期的に健診するのがよいでしょう。

ただし、40代でもがんにならないということではありません。頻度少なくても構いませんが時々健診を受けることは大切なことです。

前立腺がんの予防も40代あたりから始めるのがよいでしょう。

予防方法について詳しくはこちらのブログを  


前立腺がんは初期症状がなく、自力で発見するのが難しい。


残念ながら、初期の段階では無症状なことが多く自身で発見するには難しいかと思います。

初期に自覚症状がないことからも、がんを見つける定期的な健診は必要と言えます。


腫瘍が大きくなってくると、以下のような自覚症状がみられることがあります。
前立腺がんの起こりやすい年代では、前立腺肥大症にもなりやすく、進行前立腺がんと前立腺肥大症の症状は似ているため、このような症状が出た場合は泌尿器科へ受診しましょう。

 

まとめ

・前立腺がんの早期発見の方法は、血液検査で腫瘍マーカーPSAを検査すること

・定期健診を受け、転移する前に早めに治療することで、まだまだ生きられる。

・定期健診は50代を目安に定期的に実施すること。

・前立腺がんの初期では自覚症状はないため、自身ではわかりにくい

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