【薬剤師が解説】がんの早期発見は生存率や治る確率を上げるメリットがある。

【薬剤師が解説】がんの早期発見は生存率や治る確率を上げるメリットがある。

がんは早期発見がとにかく大切です。
日本でのがんと診断される確率や発生時期と生存率、早期発見のために必要なことを解説します

執筆:[薬剤師]齊藤 桂丞

● 経歴:慶応義塾大学薬学部卒業後、調剤薬局に薬剤師として勤め、研修認定薬剤師を習得。2022年よりぺブルコーポレーション株式会社に入社

● 自己紹介:健康や薬、ヘルスケアなどの情報をわかりやすくお伝えしていこうと思います。微力ながら、薬剤師としてみなさまの健康や生活へお力添えができればと思いますので、よろしくお願い致します。

こんにちは薬剤師の齊藤です。

今回のテーマは次の通りです。

がんは早期発見がとにかく大切

  • がんを取り巻く日本の現状について
  • 発見時期とその生存率について
  • 早期発見をするために今できること

日本でのがんと診断される確率や発生時期と生存率の関係を前半で、

早期発見のために必要なことを後半部分でお話していきたいと思います。



がんを取り巻く日本の現状と早期発見が生存率を上げる


がん検診は発見したら怖いからとなかなか行く気になれないもの。

ですが、がんはとても身近な病気であって、いつどの段階で起きるものか予測がしづらい病気であります。

がんは小さいうちは自覚症状が顕著に表れないため、自分自身では発見することが大変難しいのです。

このため、がん検診などの検査を受けることが早期発見の鍵となってきます。

がんになる人は2人に1人、4~5人に1人はがんで死亡している。

日本人が一生のうちにがんと診断される人は、おおよそ2人に1人


男性 女性
65.0% 50.2%


※出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)〔2018年〕


日本人ががんで死亡する人は、およそ4~5人に1人

男性 女性
26.7% 17.9%

※出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)〔2020年〕

このように、がんは決して無縁な病気ではありません。
確率的には夫婦のどちらかは、がんと診断されることになります。




早期発見では5年生存率は96.9%!発見が遅れれば遅れるほど下がっていく!


出典:全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年生存率報告
(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)改変




がんは比較的早く見つかると、生存率も高くなり、治る可能性も高くなります。

早い時期に見つかると5年生存率は80%以上となります。

しかし、がんが大きくなり、深く浸潤したり、他の場所へ転移してしまうと、生存率はだんだん低くなってしまいます。




がんの早期発見のために今私たちができること


先ほどのセクションでもお話した通り、がんはとても身近な病気であります。

かかってしまうことを懸念するよりもがんを早く発見すること非常に大切なのです。

ここからは、がんを早期発見するために必要なことを見ていこうと思います。


早期発見には定期健診や検査が大切。気になることがあればちゃんと受診すること


癌の診断の一般的なフローは以下のようになります。


がん発見に至る入口は「自覚症状への気づき」と「検診等」が一般的なため、定期的なチェックが非常に大切なのです。

また、受診時の検査では、画像診断、病理診断、腫瘍マーカー検査などを組み合わせて実施し、がんの特定をしていきます。




がん検診の受診率は、コロナによって減少の傾向にある

がん検診・人間ドックの受診率



2019年 2020年
31.1% 27.8%

※出典新型コロナウイルス感染症流行下における生活習慣の変化について(厚生労働省)



特に近年は、新型コロナウイルスの影響もあり、人間ドック・がん検診の受診率は低下傾向にあります。

また、検診を受けなかった理由については同じ調査でこのように出ております。


人間ドック・がん検診を受けなかった理由TOP5



順位 理由(回答の割合)
1位 なんとなく(17.7%)
2位 医療機関や健診会場でコロナに感染するのが怖いから(17.1%)
3位 必要な時は自分で医療機関を受診するから(16.3%)
4位 もともと受診する予定がなかったから(15.8%)
5位 必要性をかんじないから(14.1%)

※出典:新型コロナウイルス感染症流行下における生活習慣の変化について(厚生労働省)



おそらく読んでいる皆さんの中でも、身に覚えのある理由なのではないでしょうか?

検診は不要不急だからと先延ばしにするのではなく、計画的に受けるようにしましょう。



がん検診はがんになる確率の高い検査から受けてみる


すべての健診を網羅的にすることが理想なのですが、費用の関係でできない場合は、やはりかかる確率の高いがんの検査をまず受けられることをお勧めします。

また持病や遺伝の関係でリスクの高いがんも同様にまず調べたいがんになります。

持病や遺伝に関しては個人差や病気の種類によって差がとても大きいので、一概には言えません。

主治医の先生と相談しながら健診を受けてください。


かかる確率の高いがんはこちらです



順位 男性 女性
1位 前立腺がん 乳がん
2位 大腸がん 大腸がん
3位 胃がん 肺がん
4位 肺がん 胃がん
5位 肝臓がん 子宮がん


※出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)




色を付けておきましたがんは、検査を受けることで比較的初期段階で見つけやすく、発症しても治りやすいがんであります。

特に、性別特有である前立腺がん、乳がん、子宮がんは早く見つけることで切除する部分も少なく、温存できる可能性も高くなります。




まとめ



わたしも薬剤師としてがんの治療に携わっていたことがありますが、やはりつくづく早めに発見することが大切だなと感じておりました。

がんは早い段階で見つかると今では通院での治療も可能になり、入院期間も短くなります。

がんと診断される割合は50%ですので、自分は関係ない、まだ大丈夫は思うことなかれ!

大切家族との将来の時間を守るために、定期的な健診を受けるようにしてください。

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